貯金箱を開封した話
小学生のころ、「10万円貯まる貯金箱を開けた話」の作文を、どこかでご覧になりませんでしたか?
あの缶詰みたいな貯金箱にコツコツ貯金した話は、実に大人へのウケがよいものです。
真面目で勤勉な子どもの感動ストーリー。
さあ! 感動してください!
いや、たしかにわたくしは三十路ですが。
心は未だに中二病ですし、ハンバーグとオムライスとカレーが好きですし、落ち着きもありませんし、これはもう褒めるときだけ子ども扱いしてもいいんじゃないでしょうか。そういうSM小説を書いたりもしますよ。
(喝采待ち)
……。
(何事もなかったかのように)
開封完了です。
うわわわ、もうこれは大判小判がザックザク状態じゃないですか!
この貯金箱、なぜ始めたかと申しますと、同人活動費のためでございまして。
月々のお小遣いから、余った小銭をちまちまちまちま1年半。
貯め続けたんでございますよ。
小銭を入れた瞬間の、ジャッという金属音。
まさに天上の調べ。
ウケのよい作文ですと、一枚一枚数えていくものですが……。
こちとら三十路ですよ。そんな暇ありません。
レッツゴー銀行!
いつもならATMに直行ですが、本日は違います。
『大量の硬貨は窓口にお申し付けください』
の、貼り紙を見たから!
そういうわけで窓口へ向かいます。お金はビニール袋にじゃらじゃら入れて、七福神布袋さんです。(ロックンロール!)
「すみません。小銭が多いのでこちらから口座に入れていただけますか?」
「あ、はい。手数料につきましてはご存じですか?」
……なんて?
え、お金預けるのにお金とるの?
みなちゃんがいっしょうけんめいためたのに?
「はい、存じております」
なんで見栄張ったんだろうな自分!?
「あ……。こちら手数料一覧表なので、ご確認ください」
顔で見栄張ったのバレたなこれ!
っていうか手数料高っ!
え……。いや……。
なんちゃら千円とかの数字は見間違いか!? え、いや、マジか!?
で、でも……。預けないと印刷代の振込に使えないし……。
いや。でも何より。
「あの……枚数がわかんないんですけど……」
布袋スタイルで来てるんです。ロックンロールなんです。ロシアンルーレットなんです。
「あ……。すみません。今、枚数がわからないお客様にはご対応をしていないんですー」
あの小銭ざーって入れる機械、そんなに貴重なの!?
と、思いましたが。「てめえの命より高ぇ」とかだとショックなので。
「でも、ATMで小銭入れちゃダメなんですよね?」
タダで済ませようとしました。
「はい。お時間がかかります場合、並びなおしていただければ」
「ありがとうございまーす」
レッツゴーATM。
まあ、時間がかかるといっても、100枚までは入れられるわけだし。そこまではかからないだろう。
投入口に入れます。
ああっ、お金をわしづかみ! 大判小判がザックザク!
投入。
じゃらじゃらじゃらじゃらと機械音。
ウィーンと読み込み音。
ウィーンと読み込み音。
ウィーンと読み込み……遅いわ!
めっちゃめちゃ時間かかるわ! めっちゃめちゃ丁寧に小銭数えてるわ!
もう後ろに行列が! 舌打ちせんばかりのご老人たちが! なんだよ高齢化社会め! そんな目で見んなよ! ちょっと時間がかかったくらい……。
「すみません。なんや読み取れませんやでるんやけど」
隣のATMのおばあさん、困惑。
「ああ、これは係りの人に言うてみましょ」
さらに隣のATMのおばあさん、親切。
地方のぬくもりにより! ATM2台ストップ! 背後からの激しい圧!
「……」
並びなおしました。
3回並びなおしました。
奇怪な女を見る目で見られました。
自覚あるー、と思いました。
で、総額がこちら。
やったーーー!
遠征1回分の交通費と宿泊代できたー!!
貯金のときには紆余曲折あったけど、とにかくお金が貯まったー!!
さて。
また始めますね。See you!
評価、拍手、ブクマ、ふぁぼ等ありがとうございました!
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