読書はたのし「カレー沢薫の廃人日記~ヲタク沼地獄~」(カレー沢薫)
旬である。恥をさらさねばならぬ。
いきなり何の話か。
このような雑文の影響元をご紹介しようとしている話だ。
わたくしは軽率に他の創作者に影響されるも、あまりに影響が露骨とバレれば恥と感ずる、めんどくさい性質である。
されどさらさねばならぬ。
旬だからだ。
ソシャゲ「文豪とアルケミスト」にドストエフスキーが実装されたのだ。
しかも「素行が悪い」と断言されているドストエフスキーが。
「文豪とアルケミスト」は、文豪をモデルとしたキャラを集めるゲームなのだが、意外と「素行が悪い」と断言されているキャラは少ない。
具体的な例を上げると、太宰治先生ですら
自分が大好きなナルシストでかまってちゃん
とマイルドな表現をされている。
それなのに「素行が悪い」と断言。
これは手に入れざるをえない。理由は(以下1万字略)
そういうわけで、ドストエフスキー先生がお好きそうなものをお供えすればいらっしゃるだろうと預金通帳を開いたのだが……。
お待ちあれ、わたくしは正気だ。
ドストエフスキー先生が行きたい場所なぞ、金にとやかく言いそうにない女の元に決まっているのだ(入手前脳内設定)。
しかし。
で書いた社割見切り品のパスタが買えずに、バターロールともやしを食べていたころですら……。
毎月5千~1万5千円貯金をしていた。
逆に正気とは思えない。こんな女のところに、ギャンブル狂のドストエフスキー先生は来ない。
ギャンブルからDVへの流れがスムーズな予感がする。もちろんわたくしがふるう方だ。
いかんいかん、何か金におおらかな雰囲気があるものはないか。
と、捜索に出ようとすると、廊下が衣類で埋まっていた。
どうもママンが自室を整理しているようだ。
ママンがこんなことを決行するのは、人生で2回目に見る光景である。つまり廊下を通れない。
自室でお供えを用意するしかなくなった。
恥をかく選択肢以外なくなったのだ。
金という路線をいったんおいて、ソシャゲという路線でお供えする他ない。
ソシャゲに関する本のコラム。わたくしの影響元をご紹介する。
そういうわけで、今回ご紹介する作品は「カレー沢薫の廃人日記~オタク沼地獄~」(カレー沢薫)である。
単行本Kindle
ソシャゲのガチャで金をジャブジャブした話のコラムだ。
文章は影響を受けたが、わたくしのソシャゲ課金額は、ソシャゲ歴5年で1万円に届かない。
さらにプレイ時間となると、「月イチでログイン」という体たらくである。
ドストエフスキー先生実装の報を聞いて「毎日ログイン」と改心した。
たぶん、これは「普通の人」だろう。
たぶん。そうつけてしまうのが本書の怖さである。
カレー沢先生は失礼ながら決して億万長者ではなく。尊敬すべきことに円満な関係のご主人がおられる。
現に本書の半分は、ご主人との生活を書かれたコラムの連載まとめだ。
実によいご主人であり、実によい奥様であり、最後にちょっとためになることが書いてある。
影響を受けた側のわたくしには、いい部分が全部抜けているということでもあるが……。
結婚などという人生賭けた大博打(参加費で破産の可能性アリ)に臨む度胸があれば、こんなコラムなぞ書いていないのだ。
ドストエフスキー先生がが実装前からいるはずだ。
罪と罰の著作権まで賭けたギャンブル狂が、博打に惹かれぬはずがない。
この本は2つの連載を合わせて書籍化した1冊。
前半は夫婦生活に関してのコラムである。
冒頭を引用させていただく。
まず覚悟してほしいのは、この本にはゲームキャラクター「へし切長谷部」と「土方歳三」以外の話がほぼ出てこない。
推しがかぶっている……!
いや、正確にはFGOはやっていないので、土方歳三はかぶっていないのだが、モデルの土方歳三はかぶっているのだ。
FGOはやっていない。
やっていないが、新撰組駐屯所跡や宇都宮古戦場跡には行ったし、官軍幕軍両方の慰霊碑に手を合わせたりもした。ヤバい。奇跡だ。ハレルヤ!
失礼。素晴らしいご家庭について触れ忘れた。
なにせ推しがかぶったのだ。お許しいただきたい。
この世には推しの同担拒否なるストイックな方もがおられるが(あなたの知っている世の話とは限らない)……。
同担拒否をすれば、それだけ楽しめる推しの二次創作が減ってしまう。
最近pixivでタグを3回作った(わからない方はわからなくていい)身に、推しについて語ってくださる方はメシアである。
憧れる。つい、ただの雑談で紙面の半分以上を使っている。そんなところまで影響を受けている。
ドストエフスキー先生のお供え部分は後半だ。
後半はカレー沢先生がFGOで土方歳三をゲットするまでの、一大戦記なのである。
ゲットする方法がソシャゲのガチャなのだから、ドストエフスキー先生にはたまらないだろう。
音速で我が図書館に駆けつけるはずだ。
そうだ、先生が最初の土方歳三期間限定実装で課金」した額を引用すれば、音速を超えるのではないか?
26万8140円
あたしは死んだ。スイーツ(笑)
古すぎるネタと共に、己の甘さで死んでしまった。
わたくしの月収(ピーッ)回分である。
ガチな数を書いてしまった。ピーッを急いで入れた。
無課金でドストエフスキー先生を呼ぶのは無理かもしれない。
恐ろしい。
26万は当時会社員も兼業していたカレー沢先生の、2回分の月収でもあるのだから。
当然ながら先生も大ダメージを負っている。
そこで私はキンタマを2つ奪われ、そして土方さんは得られなかった。
カレー沢先生もわたくしも女性であるが、金銭的キンタマというものが存在する。
どの格闘技でもキンタマを潰すのは反則なのだ
金銭的キンタマを失う苦痛は筆舌に尽くしがたい。
……尽くしがたいな。やっぱり他のお供えもないか見てみよう。
廊下が通行可能になっていた。リビングに向かった。
……なんと、ママンが新聞入れを片付けている。
我が家で新聞を読むのはママンのみである。
よって新聞入れの乱雑さは、数年前から小言を申し上げることすら諦めていた。
誰しも向き不向きがある。
ママンは片付けることが不向きであり、わたくしは一人暮らしをするだけの収入を得ることが不向きなのだ。
そのママンが……片付けをしている!
驚きすぎて自室に戻ってきてしまった。
なぜ自室に戻ったのかはわからないが、カレー沢先生も土方歳三を堪能するのになぜかトイレに入っている。
感動した人間の行動は似ている。
ヲタクは自身をオンリーワンと思いがちな量産型なのだ。
量産型!?
ならばカレー沢先生と同じ行動をとれば、ドストエフスキー先生が来るではないか!
ともかく予算は15万強だ。だが、結論から言っておこう。
「それ以上回した」
あたしは死んだ。スイーツ(笑)
失礼。ネタを使い回すほどに自然に事切れてしまった。
いや……、だが……、だがしかし……。
たとえ手持ち現金、口座の金が尽きようとも、クレジットカード、リボ払い、キャッシング、隠し 剣 鬼の爪が山ほどある。
大人になると「ない金を溶かせる」という異能力に目覚めるのだ。存在しないはずの弾を発射できるのである。
つまり、今そこにない金でガチャを回す我々は全員「魔弾の射手」だ。
そ、そうだ……発射しなければ当たらないのだ……。
「出るまで回せば必ず出る」のである、つまり勝率100%」「全プレ」といっても過言ではない。
発射するためには装填しなければならないのだ……。
「推しは出た瞬間黒字」
震える手で3千円を掴んだ。
15万用意したカレー沢先生にはお恥ずかしいかぎりだが、これは限度額である。
超えることはない。
わたくしは異能力者になれなかった。大人になれなかった。3千円の射手が限界だった。
なぜ……、カレー沢先生ほどの……! 2ヶ月分の収入を推しにつぎ込める情熱を持てないのだ!
「ちょっといい?」
ちょっ、なんなんママン。今大事なとこやねん。
「え、あの……あの……。通帳がどっか行った」
……。
「あ、うん、せや、違う。どっかやった」
家計の通帳はわたくしが管理しているので無事である。
先ほどからママンは、個人の通帳を自宅で紛失し、慌てて部屋を片付けていたそうだ。
ここまでお供えを読んでくださったのに申し訳ない。
金へのおおらかさに対して、我が家にはすでに女神がいた。
ドストエフスキー先生は必ず来る。
「カレー沢薫の廃人日記~ヲタク沼地獄~」いかが?(銀行の電話番号を調べながら)
追記:通帳はやはり自宅にずっとあった。
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